石鹸のある生活のはじまり
石鹸に興味を持ったきっかけは、20歳頃の自分の髪でした。
当時はずっとパーマをかけ続けていて、気づいたときには髪がボロボロに傷み、急激に細くなっていったんです。鏡を見るたびに、前の自分とは違う感じがして、少し怖さもありました。
シャンプーはドラッグストアで買える市販のもの。特別こだわりもなく、「洗えればいい」と思って選んでいました。でも、洗っているはずなのに、髪は弱っていく。何かが違うのかもしれないと、どこかで感じていた気がします。
そんなとき、当時一緒にバンドをしていたドレッドヘアーの友人が、「石鹸で洗うと髪にいいよ」と教えてくれました。正直、半信半疑でした。シャンプーじゃなくて石鹸?本当に大丈夫なのかと疑いながら、試しにやってみたのが始まりです。
最初に驚いたのは、髪の太さでした。使い続けるうちに、みるみる一本一本に芯が出てきたんです。「え、こんなに変わるのか」と、本気でびっくりしました。
石鹸で洗うことに少しずつ慣れてきた頃、逆にシャンプーへの違和感を強く感じるようになりました。泡立ちの良さや香りの強さが、どこか不自然に思えてきたんです。すっきりするのに、整っている感じがしない。その小さなズレが、ずっと残っていました。
そのとき使っていたのが、シンプルなアレッポの石鹸でした。余計なものを足していない、ただそれだけのもの。

髪が少しずつ太くなっていくのを感じながら、僕の中に浮かんだのは「これでいいんだ」という感覚でした。
不自然な香りが嫌いなわけではありません。むしろ、いい香りだと感じることもあります。
ただ、体にとって本当に必要かと言われると、そうではないのかもしれない。そう思ってしまったんです。
必要以上に何かを加えなくても、ちゃんと戻っていく。
それを体で感じてしまったあとでは、無駄にいろいろ入っているものを、あえて選ぶ理由が見つからなくなりました。
必ずしも新しいものを足さなくてもいい。
元に戻る力を邪魔しなければ、それで十分なのかもしれない。
石鹸を使い続ける理由は、きっとそれだけでいいんだと思います。
